嵐「心の空」ラップを超自己流解釈した

嵐のアルバム「Japonism」収録曲「心の空」のラップ詞について考察したので書きました。

 


まず前置きとしてわたしは嵐オタの櫻井担です。それと同時に日本神話オタクです。と言っても趣味の範囲なので専門的に学んでいる人と比べたらゴミのようなものですが、心の空のラップ詩を日本神話オタクの目線からこじらせこじつけ&他曲との比較関連解釈します。

 

 

最初に心の空ラップ部分を以下に引用しました。

 

Here is El Dorado 囲まれる碧

他の空と繋ぐ“Hey!Hello!”

響くこの唄を 一つに歌おう

以って貴きこの和を (この和を)

巡り巡りゆく春夏秋冬

ヤヲヨロズ集合 (We're like 五奉行)

ずっと不動の地へと ゆこう

スサノヲ散らす風防 (you know)

 

今回わたしが日本神話オタクの目線で解釈するのは「ヤヲヨロズ集合」から「スサノヲ散らす風防」までです。

短いですが日本神話とこじつけ解釈ができるのがこの部分でした。ゆるちて。

 


それでは早速解釈しま〜す。

 

 

 

 ①「ヤヲヨロズ集合」とは?

 


ヤヲヨロズというのは漢字で八百万と書きます。昔から神様は水や土、火など八百万の数に例えられるほど色々なものに宿ると信じられてきました。

それらが集合する事、これを嵐ファンが集まる事だと解釈するブログなどもありましたが、わたしは真っ先に出雲大社での事ではないかと考えました。

 

島根県にある出雲大社には、神無月(10月)に日本全国から八百万の神がやってきます。そこで何をするかというと、人間の縁結びや来年の天候などを話し合って決めるのです。


その出雲大社主祭神、つまり八百万の神々を集める神は、大国主神という神です。かの有名なスサノヲの子供です。そして、出雲大社にはスサノヲが祀られてもいます。

スサノヲは櫻井くんのラップに度々登場します。「Rock this」では「we're like スサノヲ」とまで言っていますし、櫻井くんにとってスサノヲは大きな存在です。


そして、「Hip Pop Boogie」 にも神無月の出雲大社大国主神と思われる歌詞があります。以下に引用します。

 

(集合)津々浦々 八百万の長 

万物に宿りし神々の子

 

しかし、「ヤヲヨロズ集合」 が神無月の出雲大社だとすると、なぜ櫻井くんは集合をかけた張本人の大国主神をラップに登場させなかったのでしょうか?とても重要な存在のはずです。


わたしはこれについて、大国主神“国譲りの神”と呼ばれているからだと考えました。


日本神話の中で、大国主神はアマテラスに派遣されやって来たタケミカヅチという神に交渉され、葦原中国(あしはらのなかつくに。わたしたちが住む世界の事。高天原の下に存在し、現在の島根県である出雲国を指す説もあります)を譲りました。

 

そしてその交換条件として出雲大社を立て自分を祀らせる事を承諾させます。この出来事から、国譲りの神と呼ばれています。

 

国を譲るという事は、土地の統治権など、そこでの一切の権力そして地位を譲るという事でもあります。

 

嵐は今、誰もが認めるほどの国民的アイドルグループです。

この事実を国譲りと重ね合わせると、大国主神をラップに登場させる事は日本においてアイドルのトップの座を譲る事になると櫻井くんは考えたのではないでしょうか?

 

 

②「we're like 五奉行」とは?

 


五奉行というのは、豊臣秀吉が政権を握っていた時代にあった政治の実務を担う役職です。

五奉行の更に上に五大老という役職がありましたが、秀吉が亡くなったあとに五大老の一人であった徳川家康が一人勝ちしてしまいます。

嵐の五人を当てはめるとしても、五大老ではこのように力のバランスが悪いため櫻井くんは「五奉行」としたのではないでしょうか。


また、五大老五奉行の監督をする役割を持っています。

ただ監督をするのではなく、自らの手で政治を支えていく五奉行が櫻井くんは気に入ったのでは、と思います。


そして、五奉行五大老は「合議制」という形を取っています。合議制とは、複数人による話し合いで物事の意思を決定する事です。


嵐もライブの事やこれからの事など、自分達で色々な話し合いをします。


このことから、先程の「ヤヲヨロズ集合」とこの「we're like 五奉行」の二つは「神々(嵐のメンバー)が集いこれからの事を十分に話し合い、嵐自らの手で物事を決めていく」という意味に取れます。


③「ずっと不動の地へと ゆこう」とは?

 

不動の地、つまり揺るがない地というのは、高天原ではないでしょうか。


高天原とは、日本神話においてアマテラスなどの神々が住む場所です。


ここで、2006年の「COOL&SOUL」の歌詞を見てみます。

 

アマテラスの頃から

俺らは地上の遥か外側


下界に向けて吐き出す 言霊

 

この「地上の遥か外側」というのが高天原で、「下界」というのは葦原中国とも考えられます。


話が少し逸れますが、「COOL&SOUL」の上記の歌詞はアマテラスとスサノヲの誓約のシーンだと思われます。

 

以下がそのあらすじです。


スサノヲは亡くなった母に会いたいと喚き、それに怒った姉のアマテラスはスサノヲに高天原を出ていけと言いました。

高天原を出る前に姉の元に挨拶に来たスサノヲを見て、アマテラスはスサノヲが攻め入ってきたと勘違いしてしまいます。

そこでスサノヲは攻め入ろうとしてアマテラスの所に来たわけではないと証明するために、アマテラスと誓約(うけい)をします。


※誓約というのは、何かに対して「〇〇という結果になる」と言い、それが本当に起こるかどうかで物事の真偽を決める占いです。

古くから言葉には“言霊”というものがあると信じられてきました。「自分は〇〇できる」と声に出すと、言葉に宿った魂により本当にそれが現実になるというものです。

これは誓約を行う上でも重要視されてきた信仰です。

 


アマテラスとスサノヲの誓約は、生んだ神の性別によりどちらが正しいか決めるものでした。


アマテラスはスサノヲの刀を噛み砕き、フッと吐き出します。一方スサノヲはアマテラスがつけていた勾玉を噛み砕き、同じように吐き出しました。

アマテラスが吐き出した霧のような吐息からは「宗像三女神」と呼ばれる3人の女神が生まれました。

スサノヲが吐き出した吐息からはアメノオシホミミアメノホヒアマツヒコネイクツヒコネクマノクスビの5人の男神が生まれました。


アマテラスは「後に生まれた五柱の男の子は、私の勾玉から生まれたので私の子です。先に生まれた三柱の女の子は、あなたの刀から生まれたのであなたの子です。」と言いました。


するとスサノヲは「俺の刀から心優しい女神が生まれたのだから、俺に高天原を攻める意思はないと証明できたのだ」と、自分が勝ったと言い出しました。

(この二人の誓約は、最初に男と女のどちらを生んだ方が正しいか決めるべきでした。しかしアマテラスとスサノヲはそれを行っていませんでした。)

 

歌詞はおそらくこのシーンを指しています。

「下界に向けて 吐き出す 言霊」というのは、スサノヲが勾玉とともに吐き出した誓約の言葉です。

「COOL&SOUL」のこの歌詞はスサノヲの視点です。嵐がスサノヲだとすると、誓約の言葉はおそらく曲中にある「アイドル タイトル奪い取る 快速」ではないでしょうか?

そして、これに類似した歌詞が櫻井くんのソロ曲「Anti-Anti」や「ペンの指す方向 Chapter Ⅲ」にもあります。


以下に「Anti-Anti」と「ペンの指す方向 Chapter Ⅲ」の歌詞の該当部分を記載します。


Anti-Anti


たかがアイドル

風情がタイトル奪い取る

最速で奪い取る

 


ペンの指す方向 Chapter Ⅲ


俺が噂の大卒のアイドル

続々とまずタイトルを奪い取る

そう マイク持つアイドル大国を

大卒のアイドルが外国も奪い取る

 


2004年から2006年はいざッ、Nowツアーで「Anti-Anti」を披露。そして「COOL&SOUL」が収録された「ARASHIC」が発売され「ペンの指す方向 Chapter Ⅲ」がSHO BEATで放送。ドラマ「花より男子」や映画「硫黄島からの手紙」へのメンバー出演。

更には櫻井くんがNEWS ZEROにキャスターとして出演し始め、それらが起爆剤となり嵐として次第に波に乗っていきました。

 

その中で立てたこの誓約が正しかったかどうかは2007年以降の「花より男子リターンズ」やアジアツアー、「魔王」の放送開始、10周年での本格的なブレイク、そして今の嵐を見れば自然と分かります。

 

 

ここで、歌詞の中で嵐(スサノヲ)はなぜアマテラスではなく下界に向けて言霊を吐き出したのでしょうか?

 


それはきっと、誓約を立てた相手がアマテラスではなく下界だったからです。下界のわたし達人間、つまりファンやアンチを含んだ嵐を目にする全ての人間に対して「快速でタイトルを奪い取る」と誓約を立てたのだと思います。

 


話を戻します。「COOL&SOUL」の時にいた高天原でスサノヲはアマテラスと誓約をしましたが、結局誓約に勝ったのにも関わらずスサノヲは高天原で大暴れします。

その結果アマテラスに追い出され、葦原中国に降り立ったスサノヲ。

 


高天原に戻っても、アマテラスを始めとする神々に追い出された身ですからこの上ないアウェーなはずです。

そんなアウェーに、どうして心の空では「ゆこう」と言っているのか?

 

その疑問を解決する前に、今度は「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」の歌詞を引っ張り出してきます。

 

Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ

 

(集合) 津々浦々 神々歌うnight

Stand up ヤオヨロズ We come back!!

 

これもまた日本神話のワンシーンを元にしていると思われます。


先程書いたアマテラスとスサノヲの誓約のあとに、スサノヲは高天原で大暴れします。それを見たアマテラスは心を痛め“天岩戸”という大きな岩の洞窟に隠れてしまいます。

 

アマテラスが姿を隠したため、光が無くなり世界は夜だけになってしまいました。困った神々は天岩戸の前で祝詞をあげたり踊ったりして気を引き、どうにかアマテラスを天岩戸の外に出します。


歌詞はここを指しています。そして「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」の「We come back!!」。俺たちは戻ってくるぜという言葉。


ここで先程の「なぜアウェーにゆこうと言っているのか」という疑問が解決します。


「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」が歌われたのは「Japonism」が発売された2015年のARASHI BLAST in Miyagiです。

そして「Japonism」のテーマは原点回帰です。嵐は「ジャニーズの原点への回帰」や「外から見た日本」をJaponismリリース時に挙げていましたが、また別の見方もできます。


嵐もデビュー時や人気が出るまでは今のような環境ではなく、それこそアウェーな場所に置かれていました。

心の空の「ずっと不動の地へと ゆこう」、そしてHip Pop Boogie Chapter Ⅱの「We come back!!」の歌詞は、原点回帰、つまりアウェーだったあの頃に戻ろうという解釈はできないでしょうか?


「ずっと不動の地へと ゆこう」とは、「アウェーだったあの頃に戻ろう」という意味であると同時に、櫻井くんにとって、そして嵐にとって、2015年は本当に原点回帰の年という事を示していたのです。

 


④「スサノヲ散らす風防(you know)」とは?

 

風防というのは風よけです。

スサノヲは嵐の神で、荒れ狂う暴風雨の象徴という説もあります。


つまり、「スサノヲ散らす風防」とは“風よけを散らすほど激しい嵐の神”という意味になります。


この部分を「嵐の神スサノヲをも散らすほど強い風防」とする見方もありますが、櫻井くん自身が「Rock this」などで自分達をスサノヲに例えています。

それゆえわたしは「心の空」でスサノヲを追い払う対象として見る事は考えにくく、嵐自身がスサノヲではないかと予想しています。


また話が逸れますが、スサノヲの“スサ”は進むという意があるとされ、櫻井くんがスサノヲを好きな理由のひとつだと勝手に思っています。


ここでも「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」の歌詞を出しますが、

 

きっと ずっと 一方通行

立ち止まればすぐ 一生終了

 

という部分があります。ここからも分かるように、櫻井くんは立ち止まる事を良しとしていません。


また、先程も出てきましたが2011年の「Rock this」。

ここでも櫻井くん自身のスサノヲや嵐に対する思いを読み取る事ができます。


以下に「Rock this」のラップ部分を記載します。


不可能を可能 we're like スサノヲ


この歌詞において、“不可能を可能”とは、おそらくスサノヲがヤマタノオロチを倒したシーンの事です。

アマテラスに追い出されて出雲国に降り立ったスサノヲは、それまで誰も倒せなかったヤマタノオロチを倒し、不可能を可能にしました。


2011年の嵐は、「ARASHI 10-11 TOUR “Scene” ~君と僕の見ている風景〜 STADIUM」が音楽DVD史上初の初動60万枚越えとなる61万枚を達成しています。

相葉くんが「トップになりたいって夢絶対叶えようね」と言ったのは2004年の24時間TV。嵐の人気が低迷していた時期です。

そこから徐々に波に乗り、今となっては誰もが認める国民的アイドルです。嵐もスサノヲのように不可能と言われていた事を可能にしたのです。

 

 

話を戻します。心の空の「you know」の歌詞はそのまま、あなた(ファン)は知っている、という意味です。


これらの事から、「ずっと不動の地へと ゆこう スサノヲ散らす風防(you know)」は「アウェーの時に、あの頃に戻ろう。あなたが知っている、風よけさえも散らすほど激しい嵐の神として」という意味になります。


以上より、「ヤヲヨロズ集合(we're like 五奉行) ずっと不動の地へと ゆこう スサノヲ散らす風防(you know)」は「嵐のメンバーが集いこれからの事を十分に話し合い、嵐自身の手で物事を決めていく。敵しかいない高天原(始まり・あの頃)へと戻ろう、あなたも知っているような激しい嵐の神として」と解釈できます。

 


2015年の嵐、「Japonism」のテーマ「原点回帰」と心の空から解釈した結果、無数の伏線が張り巡らされていた曲を以下にまとめとして書きます。

 

  • 「Anti-Anti」(2004)
  • 「COOL&SOUL」(2006)
  • 「ペンの指す方向 Chapter Ⅲ」(2006)
  • 「Hip Pop Boogie」(2008)
  • 「Rock this」(2011)
  • 「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」(2015)
  • 「心の空」(2015)

 

なんだこの量。恐ろしい。もうひれ伏すしかありません。


余談ですが「COOL&SOUL」から「Rock this」、「Hip Pop Boogie Chapter Ⅱ」までのアマテラス及びスサノヲの話は、順番は少し違いますが神話の時系列通りに進んでいます。

 

ですが「心の空」で一度追い出された高天原に戻る場面は実際の神話に記述がなく(間違ってたら恥ずかしい)、櫻井くんはここから先は神話と違ったストーリーを描いていくつもりなのかしら、とひとり興奮しております。

 

 

終わった!!書き切りました!!

ラップを書いた時の櫻井くんの意図がどうあれ、考えていてものすごく楽しかったので満足しています。ハッピー


かなりこじつけに近い解釈でしたが、読んで下さりありがとうございました。

以上です。